オンラインカジノで獲得した勝利金は、日本の税法上「一時所得」または「雑所得」として扱われます。
「海外サイトだから関係ない」「たぶんバレない」と思われがちですが、条件によっては課税対象となり、確定申告が必要になるケースがあります。
当ページでは、オンラインカジノの税金の仕組みから、計算方法・確定申告のやり方・注意点まで詳しく解説します。
オンラインカジノの税金
パチンコで勝って現金化している時に税金を払ったという話は聞いたことないですよね。
そのため、「ギャンブルで勝った利益については税金がかからないのでは?」と考える方も多いようです。
ですが、オンラインカジノは課税対象です。その理由について解説します。
オンラインカジノの収益は「一時所得」扱い
オンラインカジノの利益は、日本の所得税法上「一時所得」として課税されます。
一時所得の定義は以下の通りです。
一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。(国税局ホームページNo.1490 一時所得より抜粋)
「一時所得」は、宝くじや懸賞、競馬の払い戻しなどと同じ分類です。
パチンコや競馬で税金を払わなくていいの?
先述の「一時所得」には、国税局が挙げる例として「懸賞や福引の賞金品」や「競馬や競輪の払戻金」も含まれています。
では、どうしてパチンコや競馬などを払い戻す際に税金を払わなくて済んでいるのでしょうか。
それは、現金で直接やり取りしているためであると考えられます。パチンコや競馬の払い戻しについては、その場で現金手渡しによるやり取りになるのが一般的です。
そのため、年末の確定申告の際に、いくら利益が出たか後からの追跡が難しくなるため、税務署はそこまで追求しないのが一般的となっているからです。
一方オンラインカジノの場合、出金は銀行口座を介して行われているため、記録が残ります。
公営ギャンブルでも高額賞金をSNSにアップするのは注意
ただ、競馬の払戻金などでも、例えば有名人がブログやテレビで大きな利益を上げたことを言及した場合、税務署の調査が入る場合があります。
特に「万馬券などを当てた!」という情報に税務署は敏感に反応するでしょう。
また、宝くじは、払い戻しの際に最初から税金が天引きされています。
このように、ただ見逃されているだけであって、実際のところギャンブルで手に入れた利益には税金がかかる仕組みになっています。
オンラインカジノの利益に対する税金の計算
オンラインカジノだけでなくギャンブルの利益は「一時所得」として、税金を支払う必要があることは先述の通りです。
ここでは、オンラインカジノ 税金の具体的な計算方法について解説します。
ギャンブルにおける一時所得の考え方
基本的に税金は、「いくら利益が出たか」「その利益からどのくらいの割合が税金としてかかるか」の2段階で考えます。
例えば、100万円の収入があったからといって、その100万円がすべて課税の対象となるわけではないというのが、まさにこの2段階の考え方です。
たとえば、1年間でオンラインカジノの勝ち金が100万円、賭け金などの経費が30万円の場合:
(100万円 − 30万円 − 50万円) × 1/2 = 10万円
この10万円が課税対象となり、他の所得と合算して所得税を算出します。
このとき注目すべきなのは「収入を得るために支出した金額」です。例えば、今月の収支が以下だったとしましょう。
| 1日の確定利益 | 1日の資金投下量 | 差額 |
|---|---|---|
| 200万円 | 50万円 | 150万円 |
| 30万円 | 50万円 | -20万円 |
| 15万円 | 50万円 | -35万円 |
| 50万円 | 50万円 | 0万円 |
| 155万円 | 50万円 | 105万円 |
このときの合計額は、「確定した利益=1日の確定利益の総額=450万円」「使った資金=1日の資金投下量=250万円」「差額=200万円」となります。
それなら税金計算の際の一時所得は、差額分から特別控除額の50万円を抜いた150万円となるのでしょうか?
答えはNoです。上記の例だと、一時所得額はプラスの収支が出たときの金額の総額となります。
今回の場合は「150万円+105万円-50万円=205万円」です。つまり、負けたときの収支は関係ないということです。
さらに、ギャンブルの利益はトータルでの収支ではなく、1度ごとのプラス、マイナスに注目するということになります。
例えば10年間ずっと競馬をやってきた人が、先日初めて万馬券を当てたとします。「過去10年間ずっと負け続けてきたんだから自分は儲けてない!だから税金は納めない!」と主張しても納税を回避することはできないのです。
ギャンブルにおける一時所得にかかる税金の計算式
ギャンブルだけでなく、一般的な一時所得にかかる所得税は50%が対象。
つまり、利益の50%が税金の対象となります。そして、一時所得は総合課税なため、会社勤めの方は給与などと合算して最終的な税額が決定するのです。
ここから先は給与所得などの所得税と一緒の税率になりますので、以下の表を確認してください。
| 所得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 95万円以下 | 5% | 0円 |
| 195万円~330万円 | 10% | 97,500円 |
| 330万円~695万円 | 20% | 427,500円 |
| 695万円~900万円 | 23% | 636,000円 |
| 900万円~1,800万円 | 33% | 1,536,000円 |
| 1,800万円~4,000万円 | 40% | 2,796,000円 |
| 4,000万円~ | 45% | 4,796,000円 |
所得税は階段方式となっていることに留意してください。例えば、会社での給与所得が400万円、オンラインカジノでの儲けが200万円だったとしましょう。
すると、所得総額が475万円なので、税率は330万円~695万円の税率である20%、控除額は427,000円となります。具体的に計算してみましょう。
「〔給与所得400万円+{(カジノ200万円-50万円)×50%}-427,500円〕×20%=864,500円」
このとき、もし給与所得だけであれば、(400万円-427,500円)×20%=714,500円となるため、カジノで稼いだ部分の税金は差し引き15万円という計算です。
つまり、200万円の利益に対して税金が15万円、7.5%の税率と考えられます。
例えば、給与所得700万円、オンラインカジノの儲けが5400万円だった場合はどうでしょうか。すると所得金額総額は925万円となり税率は900万円~1,800万円の33%となるのです。
実際に計算してみましょう。
「〔給与所得700万円+{(カジノ500万円-50万円)×50%}-1,536,000円〕×33%=2,545,620円」
これが給与所得のみだった場合は以下のようになります。
(給与所得700万円-636,000)×23%=1,463,720円
約110万円近くの違いが出てきます。カジノの利益500万円に対して110万円ですから、約22%の税金がかかる計算です。
加えて、先述の通りカジノの利益は合算で測るものではないため、損失を考慮に入れる必要があることに注意が必要です。
住民税について
上記では所得税について確認しましたが、所得の増減によりで影響を受ける税金は、所得税だけではありません。
住民税も変わってきます。
住民税は、前年の所得を基に計算されるもので、お住まいの市区町村によって税率は変わる場合があります。例えば東京都の場合は10%になります。
注意が必要なのは前年の所得を基に算出されるという点です。
この住民税については、市区町村などで自動計算できるツールが提供されているため、ご自身で確認してみてください。
一般的には7~15%となっています。
オンラインカジノの税金・確定申告について
控除額が50万円あるため、カジノの利益(勝利金)が50万円を超えない限りは、税金を払う必要はありません。
しかし、年間50万円以上の勝利金・利益が出た場合は、課税対象となるので、この場合は確定申告が必要になりますので覚えておきましょう。
確定申告は自分で申告するものであり、かつ1~2年程度であれば税務署が連絡してくることはほぼありませんが、大きく勝ち越した3年後以降に税務調査が入ることがあるようです。
以前の収益に対する納税を怠っていた場合が、結果として延滞金が発生し、実際の税額以上を払うことになるため、きちんと毎年申告を行うことをおすすめします。
オンカジ確定申告の仕方
税金は、その年の1月1日~12月31日の間に発生した所得に対してかかり、その翌年の2月16日~3月15日の間に確定申告を行うことになります。
確定申告に必要となる書類は以下の3種類。
- 源泉徴収票
- 支払調書
- 経費領収書
源泉徴収票については、会社勤めである場合は、年末年始に必ず企業から受け取ることになります。
支払調書はオンラインカジノ側から受け取る書類です。間違えないように保管してください。
経費の領収書は合計の所得が300万円を下回る場合は特に必要ありません。
初めての方にとっては面倒に感じられることもあるかと思います。わからないことがあれば、税務署のに聞いてみましょう。
確定申告をする際の注意点
確定申告を行うときに、会社勤めをされている方には気を付けてほしいことが一点あります。
それは「住民税の普通徴収」です。
確定申告書の2面にある、「給与所得者がその他の所得にかかる住民税の徴収方法」という欄を確認してください。そこの「普通徴収」にチェックを入れる必要があります。
「普通徴収」とは住民税を自ら収める方法で、「特別徴収」とは会社員であれば給与を出している会社から給料から天引きする形で納めてもらう方法をそれぞれ指しています。
「特別徴収」のままだと、確定申告で明らかになった所得からの金額が会社に伝わってしまうことになるため、給与以外の所得があることを会社が認識できてしまいます。
「副業禁止項目」などが労働契約に含まれている場合は問題になる可能性があり、そうでなくとも人事部にわざわざ説明するのは面倒事を増やすことになる可能性があります。
そこで「普通徴収」にチェックを入れておけば、住民税徴収票は会社ではなく自宅に届くことになるため安心です。
オンラインカジノ税金まとめ
当ページでは、オンラインカジノの税金について解説しました。
オンラインカジノで獲得した勝利金は、税法上「一時所得」に相当します。つまりオンラインカジノの利益にも税金はかかるということです。
オンラインカジノで得た利益を「一時所得」として確定申告した場合、一定の控除(最大50万円)や、課税対象が所得の半分になる優遇措置を受けることができます。
ただし、損失(負けた分)は差し引けないため、実際に勝った金額全体が課税の対象となることにご注意ください。
一方で、「雑所得」として申告する場合は、損失を経費として計上できる点が特徴です。ただし、この扱いが認められるのは「営利目的で継続的に行っている場合」に限られ、オンラインカジノを国税庁が正式に収入源として認めるかどうかは不透明です。
安全なオンラインカジノの選び方やオンカジの仕組みについて詳しく知りたい方は、カジノガイドもご参照ください。
公開済み: 2024年3月19日